介護職は、やりがいのある職業であり、多くの人々の生活を支える重要な役割を担っています。
しかし、その反面、身体的負担が大きく、特に腰痛に悩まされる方が少なくありません。
腰痛は単なる痛みだけでなく、日常業務や生活の質に大きな影響を与え、場合によっては離職の原因にもなります。
本記事では、介護職が腰痛になりやすい理由やその対策、さらに腰痛を抱える介護職の方におすすめの転職先について詳しく解説します。
自分に合った働き方を見つけ、介護の世界で無理なく働き続けられるようサポートする内容となっています。
介護職は腰痛に悩まされることが多い
介護職に従事する人の多くが、腰痛に悩まされる現状があります。
これは、日々の業務で体を酷使する場面が多いためです。
利用者の体を支えたり、移動を補助したりと、腰に負担がかかる動作が頻繁に発生します。
さらに、介護現場では限られた時間の中で多くの業務をこなす必要があり、無理な動きや姿勢を取らざるを得ない場面も少なくありません。
こうした負担の積み重ねが、腰痛の原因となります。
介護職として働き続けるには、腰痛への理解と対策が不可欠です。
介護職が腰痛になりやすい理由

介護職が腰痛になりやすい理由は下記の通りです。
- 重い利用者の移乗作業
- 長時間の中腰姿勢
- 適切なボディメカニクスの不足
- 急な動きや無理な姿勢
- 作業環境の制約
- 慢性的な疲労の蓄積
それぞれについて説明していきます。
重い利用者の移乗作業
介護職の主な業務の一つである移乗作業は、利用者の体をベッドから車椅子へ、またはその逆に移動させる作業です。この際、利用者の体重を支える必要があるため、腰に大きな負担がかかります。特に、筋力の弱い利用者や介助が必要な体重の重い利用者の場合、この負担はさらに大きくなります。また、適切な移乗技術を知らずに力任せに行うと、腰へのダメージが蓄積されやすくなります。
長時間の中腰姿勢
介護の現場では、中腰の姿勢を維持する場面が多く見られます。例えば、利用者の身体を拭く、着替えを手伝う、トイレの介助を行うといった業務が該当します。中腰姿勢は腰部の筋肉に負荷をかけ続けるため、筋肉疲労や腰痛の原因となります。このような姿勢を日常的に続けることで、慢性的な腰痛に発展するリスクが高まります。
適切なボディメカニクスの不足
ボディメカニクスとは、身体に無理のない姿勢や動きを意識しながら作業を行う技術です。しかし、十分な知識がない場合や現場での指導が不足している場合、無意識のうちに腰に負担をかける動作を繰り返してしまいます。正しいボディメカニクスを習得していないことで、腰痛が慢性化することがあります。
急な動きや無理な姿勢
介護現場では、予期せぬ動きをする利用者に対応することが求められます。そのため、急な動きや無理な姿勢を取ることが避けられない場合があります。例えば、転倒しそうな利用者を支える際、腰に過剰な力がかかることがあります。このような状況が繰り返されると、腰痛が悪化する可能性があります。
作業環境の制約
介護現場では、作業スペースが狭いことが少なくありません。狭い空間での作業は、自然と不自然な姿勢を取らざるを得ない状況を生み出します。また、福祉用具や介護設備が十分に整っていない場合、負担を軽減するための補助が得られず、腰痛の原因になります。
慢性的な疲労の蓄積
介護職は精神的なストレスが多い仕事であるだけでなく、長時間労働や不規則なシフト勤務が原因で身体的にも疲労が蓄積しやすいです。この慢性的な疲労が腰の筋肉に影響を与え、腰痛を引き起こします。特に、休息を十分に取れない状況が続くと、症状が悪化することが考えられます。
介護職の腰痛対策と具体例

介護職の腰痛対策として有効なものは以下のとおりです。
- 正しいボディメカニクスを習得する
- 福祉用具を活用する
- ストレッチや筋力トレーニングを行う
- 作業環境を改善する
- 休息をしっかり取る
それぞれについて具体例を紹介します。
正しいボディメカニクスを習得する
ボディメカニクスを活用することで、腰への負担を軽減することができます。例えば、膝を曲げて重心を低くし、体重を分散させることが重要です。また、作業時に身体をねじらないよう注意し、腰を守る動作を徹底することで、腰痛を予防できます。専門的な講習会に参加することで、効率的に技術を身につけられるでしょう。
福祉用具を活用する
移乗用リフトやスライディングシートといった福祉用具を使用することで、介護者の身体的負担を軽減できます。これらの道具を正しく使えば、利用者の移動がスムーズになるだけでなく、腰痛のリスクを減らすことができます。福祉用具を導入することで、介護現場全体の効率も向上します。
ストレッチや筋力トレーニングを行う
日常的なストレッチや筋力トレーニングは、腰痛予防に効果的です。特に、体幹を鍛える運動は、腰を支える筋肉を強化し、腰痛の発生を防ぎます。具体的には、プランクやヨガのポーズを取り入れるとよいでしょう。また、作業前後に簡単なストレッチを行うことで、筋肉の緊張を和らげることができます。
作業環境を改善する
作業環境を見直すことで、腰痛のリスクを減らせます。例えば、高さ調整可能なベッドや車椅子を導入することで、作業の負担を軽減できます。また、十分な作業スペースを確保することも重要です。現場での環境改善は、腰痛だけでなく全体的な業務効率向上にもつながります。
休息をしっかり取る
適切な休息を確保することは、腰痛予防の基本です。定期的に休憩を取り、腰にかかる負担を軽減することが必要です。また、十分な睡眠を確保することで、身体の疲労回復を促進し、腰痛の悪化を防ぎます。
腰痛がある介護職にとっておすすめの転職先とその理由

腰痛がある介護職にとっておすすめの転職先は以下のとおりです。
- デイサービス
- 訪問介護
- 介護事務
- 福祉用具専門相談員
- 介護施設の管理職
それぞれについておすすめの理由を紹介します。
デイサービス
デイサービスでは、夜勤がなく、身体的な負担が比較的軽い業務が中心となります。利用者の送迎や軽度の介助が主な業務であり、腰痛を抱えていても無理なく働ける職場です。また、レクリエーション活動が多く、心理的にも明るい雰囲気が特徴です。
訪問介護
訪問介護は、利用者の自宅を訪問し、日常生活のサポートを行う仕事です。一度に対応する利用者が少なく、自分のペースで業務を進めやすい点が魅力です。腰痛がある場合も、比較的柔軟な働き方が可能です。
介護事務
介護事務は、介護施設や事業所での事務作業が主な仕事です。身体的な負担が少なく、腰痛を抱える方にとって適した職場と言えます。特に、介護業界の知識を活かしながら働ける点がメリットです。
福祉用具専門相談員
福祉用具専門相談員は、利用者に適した福祉用具を提案する仕事です。直接的な身体介助が少ないため、腰痛のリスクが低くなります。また、介護現場での経験を活かしやすい職種です。
介護施設の管理職
介護施設の管理職は、現場業務よりも管理業務やスタッフの指導が中心となるため、身体的な負担が軽減されます。腰痛がある場合でも、キャリアを活かしながら働ける選択肢となります。
腰痛があっても介護の世界で働ける!自分に合った働く場所を選ぼう
腰痛は介護職にとって避けられない問題の一つですが、適切な対策を講じることで無理なく働き続けることが可能です。
また、腰痛を抱えたままでも活躍できる職場や職種も存在します。
自分の身体の状態や希望する働き方に合った環境を見つけることが大切です。
介護職としての経験やスキルを活かしながら、腰に負担の少ない働き方を選び、充実したキャリアを築いていきましょう。