少子高齢化が進む日本では、介護職の需要がますます高まっています。
一方でAIやICTが急速に発展し、介護の現場でも導入が進んでいます。
「AIに仕事を奪われるのでは?」という不安を抱く介護職員も少なくありません。
しかし、介護の本質は「人と人との関わり」であり、人間だからこそできる役割があります。
本記事では、AI時代において介護職に求められるものを整理し、これからの介護職のあり方をわかりやすく解説します。
AI時代の介護職に求められる基本的な姿勢

AIやロボットが導入されることで、介護現場の一部は効率化されます。例えば記録業務や見守りセンサー、移乗支援ロボットなどはすでに実用化されています。
しかし、これらはあくまで「介護職の負担を軽減するツール」であり、人間の役割を完全に代替するものではありません。
介護職に求められるのは「AIを敵視するのではなく共存する姿勢」です。
機械に任せられる業務は任せ、その分「人間にしかできないケア」に注力することが大切です。
利用者の感情を察し、安心を与える行為はAIには難しく、人間の介護職にしか担えない領域といえます。
つまりAI時代の介護職には「テクノロジーを使いこなしながら、人間ならではのケアを提供する柔軟さ」が求められているのです。
介護職に求められるもの5選

では、AI時代の介護職に求められる具体的な能力や姿勢とは何でしょうか。
ここでは特に重要な5つを紹介します。
1. コミュニケーション能力
利用者や家族の思いを受け止め、安心感を与える力はAIにはできません。介護職は傾聴力や共感力を駆使して心の支えになる存在であることが求められます。特に認知症高齢者への対応では、言葉だけでなく表情や態度から気持ちを汲み取る力が不可欠です。
2. 柔軟な対応力
介護現場では予定通りに進まないことが多くあります。利用者の体調や気分によって対応を変えなければならない場面も多いため、状況に応じて臨機応変に行動できる力が重要です。AIが得意とするマニュアル的対応を補完するのが人間の役割です。
3. チームワークと調整力
介護は一人で完結する仕事ではなく、多職種と連携して進める仕事です。医師や看護師、リハビリ職、ケアマネジャーなどと協力し、チームの中で調整役を担える力は人間だからこそ可能です。AIには人間関係を築く力はありません。
4. 感情に寄り添う力
利用者は身体的な支援だけでなく、精神的なケアを求めています。「不安な気持ちを理解してもらえた」「気持ちを受け止めてもらえた」と感じることがQOL向上につながります。介護職に求められるのは、単なる作業者ではなく「心のケアができる存在」であることです。
5. 専門性と学び続ける姿勢
介護技術や制度は常に進化しています。AIやICTを活用するには、基本的なITリテラシーも必要です。学び続ける姿勢を持ち、新しい制度や技術を積極的に取り入れることが、これからの介護職に求められる条件です。
AIで代替されやすい業務とされにくい業務

AIやロボットに置き換えられやすい業務と、人間にしかできない業務を分けて考えることも大切です。
AIで代替されやすい業務
- バイタルチェックや記録入力
- 移乗や移動の補助(ロボット支援)
- 見守りや転倒検知(センサー利用)
これらは定型的でデータ化しやすく、AIが得意とする分野です。
AIで代替されにくい業務
- 利用者や家族への相談支援
- 感情に寄り添うコミュニケーション
- 多職種間の調整や人間関係づくり
- 予測不能な状況での判断と対応
これらは「人間ならではの共感力や経験」が必要であり、AIでは対応が難しい領域です。介護職はこの部分を強みにする必要があります。
AI時代に介護職が生き残るためのキャリア戦略

AI時代に介護職が価値を発揮し続けるには、ただ介護業務をこなすだけでは不十分です。
キャリア戦略として以下のポイントを意識しましょう。
専門資格を取得する
介護福祉士やケアマネジャーなどの資格は、専門性を証明する武器になります。AIが導入されても制度上必要とされる資格は強みになります。
ICTリテラシーを高める
介護記録ソフトや見守りシステムなど、ICTを使いこなせる介護職は重宝されます。「テクノロジーに強い介護職」というだけで市場価値が上がります。
管理職や指導職を目指す
現場のリーダーとして人材育成やマネジメントを担える人材は、AIには代替できません。キャリアを長期的に考えるなら指導的立場を目指すことも重要です。
まとめ

介護職に求められるものは、AIやロボットでは代替できない「人間ならではの力」です。
コミュニケーション能力、柔軟な対応力、感情に寄り添う力、そしてチームで働く力は、これからの介護においてますます重要になります。
AIは介護職の仕事を奪う存在ではなく、業務を効率化し、人間が本来注力すべき「心のケア」に時間を割けるようにするツールです。
AI時代の介護職は「テクノロジーを味方につけ、人にしかできないケアを提供できる存在」として輝き続けるでしょう。